我が町調布というところは、新宿から京王線で15分と通勤至便な街である。 今は(平成16年現在)NHK大河「新選組!」の影響で賑わってはいるが 本来はベッドタウンでこれといった産業も目玉もない。 強いて言えば映画の撮影所の東京における走り、それと深大寺くらいか。 新宿から近いということが逆に災いしたのか、 ショッピングモールや飲食店も格別多いわけではない。
ところがそんな中で、ラーメンに関しては 確かに片手で数えるくらいとはいえ、 その手の本に載ってる店もあるにはある。 「熊王」 「たけちゃんにぼしらーめん」 「千ひろ」などが代表格である。
これらの有名店はラーメン本以外にも 多くの方によるラーメンサイトでの評価もあって 今更私ごときがレポートすることもない。 従い今回は「おらが町のラーメン屋」といった、 ひっそりと営んでいる(失礼)店を紹介する。 「藍嶌(あおしま)」がそこだ。

京王線調布駅と新宿から見てその一つ手前になる布田駅 (調布、布田、いかにも東京の片田舎っぽくて好きだねえ。調布万歳!) のちょうど真ん中、旧甲州街道沿いにこの店はある。 「旧甲州街道」ってのも歴史があっていいでしょ?
昔はこの界隈にゃ宿場町につきもんの色町があってねえ。 今もその一角はスナック街として、 どことなく妖しい雰囲気が漂っているのだ(調布万歳!)。 我ら調布刀剣軍団(注:近郊の仲の良い日本刀愛好家グループで単に宴会やってるだけとの噂も)の古参メンバーの営むスナックもここにあり、 メンバーもそこでよく若い娘相手に・・・・(調布万歳!)、
おっといけねえ、脱線脱線。
はじめて暖簾をくぐったとき、店内に漂う「鰹出汁」の匂いに 一瞬「しまったかな?」と思った。 と、いうのも最近は「魚介スープ」をこれみよがしに押し出して (材料も利尻昆布だのなんやら高級品を使いまくってさ)売り物にしている 「名人気取り」の店が多いんで辟易していたところなんで。
確かに旨いところはほんとうに旨いが、 ほとんどの店は魚介系が強すぎてラーメンに欠かせぬ 「ごくわずかにどことなく感じる程度の 鶏や豚骨などでとった嫌らしくない脂の香り」がとんでしまって 「鰹風味のふんどし…、いや、本だし」 になっている、まるで蕎麦のつゆみたいである。
おいらは蕎麦を喰うなら蕎麦屋に行く。 蕎麦つゆでラーメン喰っても旨かない。 ここもそうなのかと、「失敗」の二文字が脳裏をよぎる。
ま、それでも基本の「しょうゆ(お品書きがひらがな表示)」を注文する。 入った以上はとにかく喰らって店に対しても礼をつくす、 このあたりの律儀さに相変わらず好感の持てる奴だと しみじみ自分を見直す。
30くらいの小太りのあんちゃんが 「しょうゆですね」と注文を繰り返す。 一人での切り盛りも手慣れたものか 麺茹で、スープはり、湯切り、盛り付け実に滞りなく手際よい。 「お待たせしました」の歯切れの良い一言もよい。 好感が持てる(これで若い娘の店員でもいれば、なお好感度アップなのだが…。おっと、いかんいかん)。
おそらく店主の性格なのだろうが、 店内も整理整頓されており、清潔なところも喜ばしい限りだ。

出てきた「しょうゆ」は、見た目あっさりの典型的魚介系スープ。 ところが啜ってみるときちんとコクがある。 よ〜くスープを見ると、鶏ガラ・豚骨(主に鶏ガラだな、おそらく) でとったスープと上手にあわせたと見え、 こまかい透き通った脂が表面に満遍なく浮いている。 (画像を見ていただくと、けっこうギラギラしているのがお分かりいただけると思う)。
これだ、これなんだよ、ラーメンに必要なのは。 鶏ガラできちんととったスープを濁らないように何度も何度も濾して、 それを魚介系スープとほどよい配分にしなくてはいかんのだ! ただ、どうも醤油タレが少ししょっぱい感じがする。 これは魚介系の時として生じるクセのある匂いを抑えるために 濃い目のタレを使った結果かそれとも 彩りのための醤油が多すぎるのか?
魚介類は干物が主体となるので塩分量はけっこう多い。 だからあまり濃い目の醤油タレだとしょっぱくなる。 ただ、色はそんなに濃い方ではないので薄口醤油を使っているのかも。
ご存知だと思うが関東で使用される濃口醤油より 関西で使用される薄口醤油は見た目の色合いは 濃口の方が文字通り黒く濃くみえるが、 塩分量は実は関西の昆布主体に鰹などをあわせた 薄口醤油の方が多いのである。 なんにせよ惜しい!
普通ならこれで終わるのだろうが、 この店には「しおらーめん」もある。 そこで日を変えて試してみることにした。 ここの鶏ガラと魚介スープにはなにかこう魅力を感じるものがある。 「しょうゆ」がしょっぱいのなら「しお」はどうなのだろうか。
通常は「しお」はもっと、と思うであろう。 ここが「どんな店でもチャンスは与える」という 好感の持てる小生ならではの発想なのである。
「しおらーめん」であればタレをスープで割って丼にはっても、 醤油のように「色」をつける必要は元からない。 意外に塩分量少ない時もあるのだ。 こういうのは経験がモノを言うのだよ、スティーブ! (「世界の料理ショー」ご存知ない方には分からないギャグ、さぞお腹立ちのことでしょう)
しばし日を置いて、再び暖簾をくぐった。 当然「しおらーめん」だ。
基本のスープは同じ。極細のストレート麺、 海苔一枚、メンマ適量、ほうれん草適量、 チャーシュー二枚、刻みネギやや多目、これまた「しょうゆ」と同じ (なるとが欲しい!)。だが、 味わいはこちらの方が数段上であった。
魚介の香りを殺さず(もともと店内は香りが漂うがスープにはそんなに強過ぎてツンとくる程の魚介の香りはない。 醤油タレに工夫の余地ありってとこかな。 長年の勘が当ったってことだよスティーブ)、 むしろ「ええ塩梅」になっている。 鶏の脂もより透き通って見える分食欲をそそる! よ〜く味わうと、スープにほのかに柑橘類の香りがある。 柚子の様な気がするが、 これは敢えて聞かないであれこれ想像をめぐらせるとしよう。
この日以来私はこの店では「しお」一辺倒なのである (¥600なり)。つけ麺もそれぞれ「しょうゆ」と「しお」とあるのだが、 今のところ「しおらーめん」でいい。
さて、この店を一言で表すとすれば、 はじめの「おらが町の・・・」と重複するが 「調布っ子のための気取らない魚介系ラーメン店」 としておきたい。 すべてを一人で切り盛りしている頑張り屋の店主にエールを贈りたい (でも、例えば土日とかに若い娘をバイトにでも入れればもっといいと思うのだが!)。
【2004年3月27日、法城寺】
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場所:東京都調布市 布田二丁目 (京王線調布駅または布田駅北口下車、旧甲州街道沿い)
休日:不明 (平日のランチタイムと夕方の間に休憩があるような)
電話:不明
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